新型コロナがひと段落したのかどうか分からないがスポーツ界が動き出した。東京オリンピックが延期になり早々と高校生のインターハイ、甲子園の中止が決定して国内の今年のスポーツ開催は難しいと思っていたのでプロ野球、Jリーグが開幕した事は自分たちのようなスポーツに携わる者にとっては明るい兆しだ。
開幕が遅れたためJ2はタイトな日程になってる。試合と試合が詰まってくると選手やスタッフは大変だが同じようにクラブ全体も大忙しになる。もちろんファン、サポーターも大変だと思う。そういう意味では仕事のノウハウを持った優秀な人材が多くいるクラブが優位に立つのではないだろうか。
現場レベルだと次から次へとやって来る試合に向けたプランニングである。監督以下コーチングスタッフはスカウティングに基づいたトレーニングの構築を考え、チーム全体のコンディションの調整をしなければならない。
開幕数試合はデータ量も少ないので分析担当コーチも大変だが、この日程だとあっという間にデータ量が増えて更に画面を見る時間が長くなるだろう。そしてフィジカルコーチに関しては未知との戦いになるのではないだろうか。プレシーズンのキャンプを終え、さぁ開幕だと思った矢先での自粛期間、そして気温の高い試合の連続は非常にセンスが問われると思う。コンディションを維持させるのは大変だが成功すれば『名フィジカルコーチ』として今後、引く手数多になる可能性を秘めている。
しかしハードスケジュールで必ずコンディションを落とす選手が出るので、リザーブ選手のパフォーマンスとモチベーションを維持させるコーチや身体のケアや治療だけではなく心身のケアが出来るトレーナーの存在。そして全体をオーガナイズしてコミュニケーションの取れる強化部スタッフも重要な立ち位置になる。アウェイ戦になると敏腕主務、副務の出番であり、彼らのセンスはチームのストレスを大きく左右する。
試合は何も選手や監督だけで行うのでは無く、チーム力が効力を十分に発揮する。裏方さんの力を考慮して順位予想をするのも面白い。強いチームはスタッフのリレーションシップが上手くいってるところだ。もちろんシーズンを通して試合事に成長するチームもあり今シーズンのJ2は楽しみな点が多い。
2009年のJ2リーグは18チームの3回戦総当りの51試合で行われた。ロアッソ熊本がJリーグに昇格して2年目は今年と同じようなハードなスケジュールだった事を覚えている。試合の間が短く、コンディション重視が大事だったが当時は新しいスタイルを作るためにリカバーの日も戦術トレーニングを行なっていた。その甲斐もあってシーズン中盤以降は当時あまりなかったボール保持率の高いスタイルを確立することが出来たがシーズンも残り数試合になった頃に思い掛けない事が起きた。
チーム内でインフルエンザが蔓延してしまった。もちろん予防接種は行なっていたが疲労の蓄積で免疫力が落ちていたのだと思う。陰性者のみの数人でマスク着用での練習を余儀なくされ毎試合メンバーを変更しなければならなかった。監督だった自分はチームが用意してくれたホテルに隔離されていた事もありインフルエンザに感染はしなかったが後味の悪い終盤だった。
新型コロナの影響で今年はサッカーだけではなく様々なスポーツの開幕が遅れ、日程が厳しくなっている。終盤に差し掛かる頃には疲労が蓄積されて、そこに第二波が来てしまう恐れもある。新生活様式を定着させ、細心の注意をして予防をしなければならない。開幕したからには無事に閉幕しなくてはならない。