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あの時を回顧してみる(序)

音楽好きな人はほとんど歌詞など聞いていないと言われる。

しかし歌詞に惹かれる事だって相応にあるはずだ。

その歌詞に自分を重ねてしまい自分に酔う事だってある。

2018年カマタマーレ讃岐のホーム最終戦。

一連のセレモニーが終わり場内を回ろうとした時に電光掲示板の映像と共に聞き覚えのある歌が流れ始めた。

道は果てしなき 夢は今まだ五分咲き
気持ちとうらはらに足は重くなるばかり
どこまで行こうか どこで足を止めようか
それでもよっしゃ行こう!声上げ光の中へ

SA(エスエー)というパンクロックバンドの『赤い光の中へ』の歌詞だ。

降格したこの年、何度途中で投げ出そうかと思っていたか。

ピッチの事だけではなく全てにおいて上手く回らないのだ。

カマタマーレ讃岐で九年目を向かえるがこんなに違和感を持って仕事をしたのは初めてだった。

そんな自分のモチベーションを上げようと聞いていたのが『赤い光の中へ』だった。

実はこの一年はシーズンスタートする前から胡散臭い雰囲気だったのである。

フロントのゴタゴタ、取り分け内部と外部とでの上層部の鍔迫り合いは日常茶飯事だ。

こんな小さなクラブだが誰が主導権を持つかのような実にくだらない争い事である。

ちょうど前年からクラブハウスと練習場の計画が進められ、当時の山下社長が実現に向けて孤立奮闘していた。

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