格好良くいえば「冒険が終わった」だろうか。
サッカーは男子も女子も同じだと思っていた。
男子でアマチュア選手からプロ選手、いろいろなカテゴリーを経験した自分の知識は女子選手にも通用すると思っていた。
なでしこジャパンだってテレビで見た事がある。
これまでと同じようにやれば大丈夫だと思っていた。
だがそこには大きな違いがあり、自分にとって女子サッカーは文字通り「冒険」になった。
なでしこジャパン以外の女子サッカーは見た事がなかったが、たまたまNHKで皇后杯の決勝をやっていた。
ベレーザ対浦和レッズレディースだった。
ベレーザは知っていたがその時は「レッズもレディースを持ってるんや」ぐらいの知識だったのだ。
だが、知っている選手は誰もいない。
狭いスペースで短いパスばかりのサッカーだった。
そして何より緩急がなく、ずっと同じペースで試合は進むので前半も30分を過ぎると睡魔が襲ってきた。
後半はほとんど寝ていて気づいた時にはベレーザが勝っていた。
ピッチの選手たちは抱き合って喜び、ベンチの監督とスタッフも抱き合って喜んでいた。
「そうか男のスタッフだから選手たちとは抱擁しないんだな」
などと勝手に想像していた。
自分自身、あの世界チャンピオンになった11年前のなでしこジャパンで止まっている女子サッカーという未知の世界に足を踏み入れるなど考えてもいなかった。
決して選択肢が女子サッカーだけでは無かったのに何故、女子サッカーを選んでしまったのか。