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戦略があって戦術がある。そして本質。

毎年、年末には近所のジャスコで小説から雑誌まで様々な本を購入する。

年末年始の寒い季節はインドアと決めているからである。

当然、サッカー関連の本も数冊は購入する。

以前、何かでディエゴ・シメオネがいろいろな戦術的な本を漁って読んでいると聞きいた。

真実は確かではないが真似している訳ではなく、私は本を読むのが好きなのだ。

今回、購入したサッカー関連の本は二冊。

これまでも西部謙司さんの本は読んだ事もあり一気に読み上げてしまった。

誰もが知っているメジャーなチームを題材にしているので読みやすい。

そしてサッカー好きが読みたくなる題材だ。

以前購入した『4−4−2戦術」など、目についた瞬間に手を伸ばしてしまった。

西部謙司さんの本は読んでいると試合の映像が頭に浮かんでくるのだ。

本を読みながら、自分の頭の中にその場面が見えてくるので面白い。

一度読んでみることをお勧めする。

しかし、本を読んで戦術の研究ができる訳ではない。

参考にする事もほぼ無い。

実際の試合を見たり、映像を見ない事には解らない事が多すぎる。

ましてや自分の指導しているチームは、誰もが知っているメジャーなチームでは無いのだ。

チームの力量であったり、個人能力を把握しないで一流チームの戦術を自分のチームに落とし込むのは危険だ。

戦術的な本やサイトであったり、YouTubeなどを見てわかった様な気になってはならない。

本質を見抜かなければ意味がない。

年末の天皇杯決勝から高校選手権、プレミアリーグ、ルヴァンカップ決勝とテレビ観戦したが個人能力の差がチームの勝ち負けになる事が多かった。

結局のところ、局面での一対一の勝ち負けなのだ。

トレンドの戦術を追いかけるのも大切だが、個人能力の向上が無いとトレンドの戦術にたどり着けないのが現状だ。

ボールを扱うのが上手な選手はどこにでもいる。

しかし、試合に必要な技術は、状況に応じたプレーを選択できるオープンスキルなのだ。

ハイプレッシャーの試合になると判断の伴わない技術・クローズドスキルだけの選手は消えてしまう事が多い。

パスやドリブルの上手い選手ではなく、サッカーの上手い選手が多いチームが強いのだ。

サッカーでは相手の居ない場面などはあり得ない。

相手が居るから、相手から離れる動きでフリーになる。

相手が居るから、ファーストタッチが大切なのだ。

常に相手有りきで考えないとサッカーは出来ない。

現場の指導者はホワイトボードの魔術師になってはならない。

ホワイトボード上のマグネットはスピードも無く、パワーも無い。

サッカーで肝心なパススピードすら無いのだ。

自分の指導している選手の力量を把握した上で戦術は練らなければならない。

『戦術』とは言葉の通り、戦う術という事だ。

まだまだ日本ではパスサッカーというかショートパス主体のサッカーが持て囃されている。

小気味よくパスを繋いでいくサッカーは見ていて美しいと思う。

だが、皆んなが皆んな同じサッカーをやる必要はない。

戦力の差はあって当然なのだ。

選手の特徴を活かして戦う事が戦術なのだと思う。

そして今、選手の移籍が活発な時期だ。

1年間戦う戦略をクラブが考えて、戦力を揃えている。

プロクラブにとって、この戦略(スタイル)がシーズンという大局を立つ事なのだと思う。

本来はクラブの戦略があって、監督の戦術があるのだと思う。

そう考えれば、応援していたクラブはどうだったのかが違った角度で見えてくるはずだ。

信念や指針、フィロソフィーがしっかりしているクラブは揺るがないのだと思う。

先日、京都市某区役所に行ったら凄い剣幕で老人が怒鳴っていた。

その老人に対応していた職員は、顔見知りの元讃岐サポーターだったのだ。

老人に言われるがまま数分が過ぎ。疲れたのか口数が少なくなったその時だった。

矢継ぎ早に的確な説明を繰り出し、完全に黙らせてしまったのだ。

その後、老人は納得したようで、何度も職員にお礼を言って立ち去った。

さすがは元讃岐サポーターである。

ファストブレイクの本質を心得ている。

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