腹の底から笑いたい

消えゆく才能を追って

女子サッカーの現場に足を踏み入れて7年。
振り返れば、あっという間のようで、同時に様々な感情が去来する。
まさか、これほど長く女子サッカーのコーチ業を続けるとは、当時の自分も周囲も想像だにしなかっただろう。
ノジマのトレーニング場のピッチに初めて立ったあの日、わずか3日で「辞めたい」と思った事を思い出すと、自分でも笑ってしまう。
女子サッカーに魅せられたからではない。
男子の方がスピードもパワー、そしてテクニックが織りなすダイナミズムは、今も昔も魅力的だ。
「Jリーグからオファーがないから、女子サッカーをしているのか?」と訝しむ方もいるかも知れない。
しかし、有難いことに複数のクラブ、さらにはアジア圏のクラブからもお声がけを頂いている。
それでもなお、女の子のサッカースクールや女子中学生のチームを立ち上げた理由は何か。
その辺りを、改めて深く考えてみた。

女子中学生チームを立ち上げた最大の理由は、小学生サッカースクールの卒業生たちが直面する「進路の壁」を目の当たりにしたから。
毎年、小学生女子選手たちが、中学進学と同時にサッカーから離れていく現実を見たり、聞いたりした。
小学生時代は男子と一緒にプレーし、技術的にも遜色のない成長を見せていた選手たちが、中学校では女子サッカー部がない、あるいはクラブチームも男子に比べ、僅かしかなく、結果として他のスポーツに転向したり、サッカーそのものから離れてしまう。

京都トレセンを例にあげれば、小学生U-12の選考会には60人を超える女の子がチャレンジするのだが、中学生U-14だと30人にも満たない。
みんな、どこへ行ってしまったのか。
この「受け皿不足」こそが、日本の女子サッカー界が抱える最大の構造的問題の一つだ。

## 育成システムの根本的な欠陥

小学生の指導に携わってきた中で痛感するのは、現在の育成システムの根本的な問題。
小学生年代では、身体能力の優れた選手は男子と同じようにピックアップされ、注目を集める。
上手い選手は、本当に上手い。
しかし、技術は高いが身体的な成長が遅い選手、戦術理解は優れているが運動能力がまだ発達していない選手たちは、往々にして埋もれてしまう傾向がある。

男子サッカーの世界では、高校年代から急激に伸びてくる選手が大半を占めることは周知の事実だ。
小学生時代は目立たなかった選手が、中学・高校で身体の成長と共に開花し、最終的にプロの舞台で活躍するケースは珍しくない。
なぜなら、男子は多くの選手が高校年代まで継続的にサッカーを続けているからだ。

モバイルバージョンを終了