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女子ワールドカップを観て思った事を書いてみた

女子サッカーのワールドカップが終わりました。

決勝のスペイン対イングランドはご覧になられたでしょうか。

同時刻にJリーグや大河ドラマもやっていたので観ていない方も多いでしょうね。

多少なりとも女子サッカーに関わった(女の子のサッカースクールはやっていますが笑)身といたしましては観ておかないといけないと思い、しっかり観ました。

そこで思う事が多かったので、久しぶりに女子サッカーの事を書いてみようと思いました。

ですから少し、一年半前を思い出さなければいけません。

二人のライターさんからリモートで取材があったからか、自分の言葉で伝えたいと思ったのです。

グループリーグで日本は優勝したスペインに4-0というスコアで大勝しました。

上手く行っていたなら日本は2回目の世界チャンピオンになれていたのでしょうか。

そこなんです。

確かに、スペイン戦は見事なカウンターからゴールを奪い、世界を驚かせました。

世界中の人より、日本の人の方が驚いたのかも知れません。

サッカーを知っている人ならば、あんな戦術的な戦いを「なでしこジャパン」が出来るのかと驚いたかも知れません。

それほど、あのスペイン戦は見事な勝利でした。

そして、この大会は選手達の表情がとても良く、のびのびプレーしていました。

それがノックアウトステージではスウェーデンに最後まで果敢に攻めましたが、一点が遠く、次のラウンドには進めませんでした。

勝負を分けたのは前半のゲームプランだったと思います。

これまでのグループステージの戦い方と違い、何か受けに回ったような立ち上がりだった印象です。

もしかすると予想以上にスウェーデンが圧力をかけてきたのかも知れません。

キックオフから後手、後手を踏んでしまい先制点を許してしまいました。

この辺りは池田監督に直接、話を聞かないとわからない事ですが・・・。

グループリーグで勝ったスペインが優勝、ノックアウトステージで接戦の末、敗れたスウェーデンが3位。

なでしこジャパンのレベルが高い事は世界中に証明する事ができました。

素晴らしいサッカーに『評価は高い』と現地にいるライターさんが教えてくれました。

日本人としては嬉しいですね。

しかし、素晴らしいサッカーと勝つサッカーに違いはあるのでしょうか。

スペインとイングランドの決勝戦はフットボールでした。

スペースの奪い合いは、男子サッカーと同じでした。

そして何より、闘う気持ちが全面に出ていました。

球際のバトル、寄せのスピードと距離は僕の知る、女子サッカーの領域を遥かに超えるものでした。

男子のワールドカップと同じ、国を背負うと女子でも、こうなるのかと驚きました。

そして今回、記事を書こうと思ったのが決勝戦のスペイン、イングランドの選手達が取替式のスパイクを履いている映像を見たからなのです。

サッカーのスパイクには、固定式と取替式があります。

スパイクのアウトソール、つまり靴底には「スタッド」と呼ばれる突起物が付いています。

このスタッドが靴底部分と一体化してくっついているものを「固定式」といいます。

このスタッドが取り外しできるタイプが「取替式」です。

固定式に比べて、取替式はスタッドの数が少なく、1個のスタッドにかかる圧力が大きくなるので止まりやすくなります。

取替式と固定式は、ピッチのコンディションにより使い分けるのが普通です。

雨などにより滑りやすくなったグラウンドや天然芝に対しては、固定式よりスタッドの本数が少なくてグリップ力の高い取替式が適しています。

もう40年前の話です。

当時、高校サッカー最強の帝京高校の選手は必ず、固定式と取替式の両方のスパイクを用意していました。

練習であっても、滑って転ぶ事はあってはならない教えだったので、雨の日は必ず取替式です。

確かにレギュラー争いは壮絶だったので、ミスは許されない雰囲気がありました。

特に這い上がらなければならない下級生は必死です。

そうなると対人練習や紅白戦は熾烈を極めます。

スネを蹴られるのは当たり前、取替式のスタッドはアルミ製なので、その痛さは想像して頂けると思います。

痛くて倒れるのも、滑って転ぶのも同じです。

ですから、レガースを着用するのは当たり前でした。

当時は試合でもレガースを着用するルールは無かったのにです。

名将、古沼監督が独特の言い方で

「雨の日にゴム底なんて履いて滑ってたら、もう使わねぇから田舎に帰れ~」

なんて事を言うのですから履かない訳にはいかないんですけどね。

晴れた日は固定式スパイク、雨の日は取替式スパイク、それが当たり前だった高校時代でした。

僕自身がコーチになってからは選手に対して「スパイクの選択を間違えるな」って言います。

特にディフェンダーには口うるさく言います。

讃岐時代は上村健一が厳しかった。

元日本代表でいくつもの修羅場を経験しているからでしょうね。

ひとつのミスが試合を台無しにしてしまう事があります。

それを極力、起こさないような準備こそがプロとして大切な事です。

大舞台であればある程、大切な事ですね。

讃岐時代は毎試合が決勝戦みたいなものでしたから、それはもう準備だけは徹底させていました。

少し話がそれましたが、ノジマの時はどうだったか。

ノジマの練習場は人工芝で、それは良い環境でした。

人工芝なので取替式のスパイクは履きません。

スパイクは脚に負担があるのでトレーニングシューズで練習する選手もいました。

人工芝は雨でも水捌けが良く、芝が捲れる事も無いのでスパイクの種類は問題ありません。

ですが、リーグ戦は天然芝なのです。

雨の日の試合でこれまでのように

「スパイクの選択を間違うな」

って言ったのですが固定式のスパイクしか用意していない選手ばかりなのです。

これには正直、驚きました。

ここで誤解して欲しくないのは、雨だから取替式のスパイクを履けという事ではありません。

履き慣れたスパイクを履けば良いと思うんです。

ぬかるんだピッチでも、滑らなければ固定式スパイクで良いのです。

滑らなければ・・・。

女子サッカーに精通している石井和裕さんが女子サッカーの名門高校の監督さんに聞いてくれました。

それによると、高校の女子選手は取替式スパイクの存在じたい、知らないのでは無いか位の状態との事でした。

もしかすると、今の固定式スパイクは性能が上がり、ぬかるんだピッチでも滑らなかなったのかも知れません。

男子に比べるとパワーが劣る女子は、そこまでピッチを噛まなくても普通にプレーが出来るのかも知れません。

その辺りのスパイク事情は分からないというか、知りません。

ワールドカップが行われたスタジアムのピッチ状態は、あまり良くなく、なでしこジャパンの選手達も何人かは取替式のスパイクを選択していたようです。

日本の女子サッカー事情は男子に比べると環境面では良くないです。

ほとんどのJクラブの練習場は天然芝ですが、トップリーグであるWEリーグチームの練習場は、ほぼ人工芝だと思います。

練習が人工芝だと、余計に取替式のスパイクは履く機会がありません。

トップレベルの選手達がそうなのですから、育成年代の選手が履いていないというのは納得出来ます。

日本の女子選手には取替式スパイクを履く、習慣がないのかも知れませんね。

もう一度言います。

日本にも取替式スパイクを履く習慣が出来れば、世界に勝てると言う話ではありません。

今回のワールドカップで世界を魅了した、なでしこジャパンの美しいサッカーは賞賛されるに値します。

その、美しいサッカーのプラスアルファとして泥臭く、勝負に徹するメンタリティが必要なのかなと思ったのがスペインとイングランドの決勝戦なのです。

切羽詰まったギリギリの戦いの中、身体をぶつけ合い、相手の背後を奪う動き。

そして、背後を奪われない為にファールまがいのコンタクト。

このようなプレーは日本対スウェーデンではあまり見られませんでした。

そこが日本女子サッカーの課題なのかも知れません。

ひとつのミスが大きく流れを変えてしまうのがサッカーです。

レベルが上がれば上がる程にその傾向は高くなります。

欧州では今、女子サッカー人気が急激に上がり、選手達は大観衆の前でプレーしています。

そうなると自然と1対1のバトルでの勝ち負けに拘りを持ち、タフなプレーが出来るのではないでしょうか。

池田監督になり、なでしこジャパンの戦い方は変わりました。

それまで、何処かコンタクトプレーを嫌うようなプレースタイルだった日本の女子サッカーから、世界のスタンダードを目指すようになったと思います。

3年前、僕がこのようなプレースタイルを持ち込んだ時、ノジマのサポーターから

「女子にあんなプレーをさすな」

クラブの取締役には

「女子サッカーの魅力は健気に頑張るところなのに」

と言われたのを思い出します。

ですが12年前、世界チャンピオンになった宮間あや選手、澤穂希選手は華麗なプレーを見せていましたが、それ以上に泥臭いコンタクトプレーも厭わなかった。

それが何故か、評価が違う方向に向かってしまったのではないでしょうか。

それでも、現場に立っていた2年半の中には戦えている選手は何人かいました。

猶本光選手(浦和)や脇阪麗奈選手(C大阪)はその代表的な存在だと思います。

気が強いとか、そんな単純な事では無く、サッカー選手として戦えるプレイヤーだと感じました。

上手いだけでは無く、戦える選手、闘志を全面的に表現できる選手が多くなれば日本の女子サッカーも変わって行くのではないでしょうか。

このブログを読んでくれている人で、8月26日からWEリーグカップが始まる事をご存知の方は、どの位いるのでしょうか。

僕のブログは、ほぼ全員がサッカーファンだと思います。

相変わらずのプロモーション下手で、サッカーファンですら知らない方が多数なのではないでしょうか。

Jリーグが誕生して30年です。

サッカーのレベルが飛躍的に上がったのは紛れも無い事実です。

それは、多くのサッカーファンが育てたと言っても過言ではありません。

Jリーガーはたくさんの観衆の前で、勝ち負けを競い合い、勝てば賞賛され、負ければ批難されます。

良いプレーには拍手を貰い、悪いプレーにはブーイングが飛ぶ。

そんなストイックな環境下だからこそ、タフな選手が育つのでは無いでしょうか。

だからこそ、もっと違う観点でプロモーションを掛け、人を集めて貰いたいものです。

こんな話をすると、また「女子のサッカーに口出しするな」とかお叱りを受けるかも知れませんが、スウェーデンに負けたことが本当に悔しくて、書いてみました。

WEリーガーにはたくさん友達がいます。

みんな頑張っています。

彼女達を美しく、タフな選手に育てるにはサッカーファンの力が必要です。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

少しでもサポート頂ければ執筆の励みにもなります!

よろしくお願い致します。

 

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