珍しく二人のサッカー仲間から連日、電話があった。一人目は 岩本輝雄 からで、テルくんの電話は毎度、前置きはなく「サンフレッチェのアタッキングサードの崩し見た?」いきなり本題から始まる。
残念ながら今シーズンは、まだサンフレッチェ広島は見ていなかったのでテルくんの興奮した説明を頭にイメージする事はできなかった。なにやら横浜FCの5バックをいとも簡単に破るらしく、ペナ角から「潜らず」に侵入するらしい。
早速、横浜FC 対 サンフレッチェ広島のスカウティング映像を入手して視聴した。
なるほど、相手3バックの特徴を上手く利用したローテーションの動きだ。先制ゴールはその動きから生まれた。
3−1−4ー2の横浜FCは5−3−2の守備オーガナイズで組織を組むのに対し、サンフレッチェ広島は攻撃時に2−3−5の様な並びになる。今風に言うハーフスペースの攻防で、このスペースを獲るのが上手なのは 吉武博文さんだ。いわゆる『ポケット』への侵入と攻略だ。
どんな前戯を入れて、左右のCBを引き出すかは監督のやり方だが、相手が3バックでも4バックでも考え方は同じだ。肝はタッチライン側にいるWBやSBを何処にピン留めするかになる。
実は僭越ながら今シーズン、我が「ノジマステラ」でも挑戦している。女子選手に対してローテーションの動きをして、相手を引き出すことを説明するという事は、スクーターしか乗った事のない人に大型バイクのギアチェンジを教えるくらい大変な作業だ。
単純に、動き方を教えても、練習でやったシチュエーションが試合に出る事は、ほぼ無い。練習は試合で使えなければ意味の無いものであるから構造を学ばなければならない。
3人組でボールを持ってない選手同士のアイコンタクトからスタートした。ボールを持っていないA選手がランニングしてスペースを開け、もう一人のボールを持っていないB選手がA選手の開けたスペースに入って行く。そこへボールホルダーのC選手がパスをする。
相手を置かないドリル形式からスモールゲームに発展させ、練習試合で回数は少ないが積極的にチャレンジする様になった。戦術的なことを教わっていない女子選手だからか、素直に聞き入れてくれて飲み込みは早いが問題はタイミングだ。
早くても、遅くても思った様にはスペースは出来ない。時間を掛けて練習を続けなくてはならない。
逆にこのスペースを獲られない為にはどうするか。
守備側の選手がローテーションすれば良いのだ。割り切って守る時に人数を掛けても、引出されたらスペースを開けてしまい、人を外せば前向きに受けられてしまう。すべてはスペースなのだ。時間をかけて整備したカマタマーレ讃岐の守備組織は一人一人が役割を把握していたがFC岐阜では時間が足らなかった。
もう一人の電話は同級生の 武田修宏 タケチンである。彼の電話も前置きはなく、人の都合も考えず、いきなり本題だ。どうやら日曜日にJ3 福島ユナイテッド 対 カマタマーレ讃岐の解説をするらしいのだが、 カマタマーレ讃岐の試合を見たか?が第一声だ。
鹿児島ユナイテッドとの試合を見たが、完全に記憶から失われていて、豪雨の中でも鹿児島はボールを動かせていた事と 馬場賢治と竹内彬 のベテラン・マッチアップを微かに覚えてるだけだった。
タケチンが解説をする時の準備は大したもので、試合映像を何試合も見ている。一度、資料を見せてもらったがノートにビッシリと書かれていた。うまく喋れてはいないが。
その後はタケチンの一方的な話を30分間ほど聞き、彼のタイミングで電話を切られた。今シーズン、 カマタマーレ讃岐 は勝ち星が無く、苦しい戦いを強いられているようだ。
カマタマーレ讃岐の在籍が長かったせいか、会う人、会う人いろいろな人から心配をされる。去年も練習試合などで会うJ3の監督さんから心配されたが、現在のカマタマーレ讃岐を知らないので返答に困る。だが、一度でも在籍したクラブには思入れがあるので頑張って欲しいと思っている。
岩本輝雄 と 武田修宏 は良く似ている。ともに元日本代表選手であり、テレビにもよく出ている。サッカーが大好きで、かなりの毒舌である。そして二人ともミシャ信者なのだ。電話の最後には必ずコンサドーレ札幌の話をしてくれる。
大切なサッカー仲間だ。